1 刑務所出所者等の職場定着支援モデル事業成果

平成30年度に法務省の「地域再犯防止推進計画モデル事業」を受託した愛知県が、特定非営利活動法人愛知県就労支援事業者機構(以下「機構」という。)を事業実施団体として、令和2年度まで、職場定着支援モデル事業を実施しました。中でも、協力雇用主に就職した刑務所出所者等に対し、平成31年4月から令和2年9月まで、機構に配置された支援員が、刑務所出所者等と協力雇用主の双方に対し、毎月の面談等を通じて、原則3か月間、延長して6か月間にわたり、職場定着を図るための助言等を行いました。その結果、過去には約6割を数えた3か月以内の短期離職者が4分の1未満に減少する等、職場への定着が向上する成果が得られました。

2 国(保護観察所)の職場定着支援

国(法務省 保護観察所)が機構に委託して実施する刑務所出所者等に対する就労支援に、これまでの就職活動支援に加え、令和2年度からは、協力雇用主等へ就職した者について、刑務所出所者等と協力雇用主双方に対し、職場定着を図るための助言を行うという職場定着支援事業が開始され、上記モデル事業と同様の支援が国においても行われるようになりました。機構がこの事業を受託して実施しています。

3 保護観察等期間終了後の支援

しかし、国(保護観察所)が職場定着支援を行うことができるのは保護観察等の期間中に限ってのことです。保護観察等の期間を終えると、国(保護観察所)との関わりは絶たれます。保護観察等の期間は法律によって定められ、数か月の保護観察期間の人もいます。たとえ保護観察等の期間が長くても、保護観察等の期間が終了する間際に協力雇用主へ就職する人もいます。保護観察等の期間を終えた後も職場定着支援を必要とする人への支援は、これまでありませんでした。

4 愛知県が行う職場定着支援事業

国(保護観察所)が職場定着支援をできなくなる保護観察等の期間終了後は、国に代わり愛知県が引き継いで職場定着支援を行うという事業が令和3年度から開始されました。保護観察等の期間終了の翌日からは、愛知県のこの事業を受託した機構に配置された支援員が、これまで国の委託により行ってきた職場定着支援と同様の支援を行います。支援期間は、保護観察等の期間終了の翌日から起算して原則として3か月であり、更に3か月延長することもできます。

保護観察等の期間終了後から始まる職場定着支援は全国でも類例の少ない事業です。このことにより、国から県へと引き継がれ、雇用されている刑務所出所者等と雇用している協力雇用主に対し、途切れることのない息の長い職場定着支援が可能となりました。

 


クリックすると拡大して表示されます。